東大の数学入試問題       2023/3/07

例年、主要大学の数学入試問題を見ているのだけれど、今年はやる気がしない。そうは言っても、頭の体操に、東大理系の数学入試問題を一部解いてみた。

問題5
  整式 f(x)=(x-1)2(x-2) を考える。
  (1)  g(x)を実数係数とする整式とし、g(x)f(x)で割った余りをr(x)とおく。{g(x)}7f(x)で割った余りと、{r(x)}7 f(x)で割った余りが等しいことを示せ。
  (2)  abを実数とし、h(x)=x2+ax+bとおく。{h(x)}7f(x)で割った余りをh1(x)とおき、{h1(x)}7f(x)で割った余りをh2(x)とおく。h2(x)h(x)と等しくなるようなa,bの組を全て求めよ。


解答と解説
 東大らしい問題だ。それほど難しくはないけれど、かといって易しくもない。手際よく進めないと時間内には正解にたどり着けないだろう。日頃の受験勉強がものをいう、そんな問題だ。
(1)  は自明なので割愛。
(2)  の解答
 この問題はh1を評価して、次にh2を評価してもよいが、(1)がヒントになっているのだと思えば、{h(y)}49を評価した方が楽になるような気がするだろう。また、y=x-1と置き換えると、若干答案を書く量が減るが、本質的ではない。


<(2)の解答>
(1)  より、h49を多項式fで割った余りがh2である。

y=x-1とする。すなわち、f(y)=y2(y-1)
ここで、h(y)=y(y-1)+By+Cとする
{h(y)}49=P(y)y2(y-1)+49C48y(y-1)+(By+C)49と書ける。ただしP(y)yの多項式。
(By+C)49=y2(y-1)Q(y)+μy(y-1)+βy+γ とおく。ただしQ(y)yの多項式。
y=0を代入して、γ=C49
y=1を代入して、β+γ=(B+C)49
(By+C)49-γ=y2(y-1)Q(y)+μy(y-1)+βyの両辺をyで割って、y=0を代入すると次式を得る。
49BC48=-μ+β
以上より、
h2(y)=αy(y-1)+βy+γ
ただし、α=(B+C)49-C49-48BC48+48C48
β=(By+C)49-C49γ=C49
α=1, β=B, γ=C となる条件を求める。 
γ=C49 であるから、C=-1,0,1のいずれかである。

C=1で、q=Bとすると、
 (B+1)49-1=Bが成り立つので、B=-2,-1,0のいずれかである。

C=0で、q=Bとすると、
 B49=Bが成り立つので、B=1,-1,0のいずれかである。

C=-1で、q=Bとすると、
 (B-1)49+1=Bが成り立つので、B=2,1,0のいずれかである。

以上、解の候補として、B,Cの組が9通り見つかった。この中で、α=1となるものが解である。
このとき、(B+C)49=B+C  C49=C に注意して、9通り試すと、

B=1,C=0およびB=1,C=-1  が解であることがわかる。

すなわち、h(x)=x2-2x+1  h(x)=x2-2x