京都大学 理系 数学入試問題       2023/3/08

京都大学の数学入試問題は一癖あるものが多い。受験勉強に取り組み、かつセンスがないとできないような問題が出題される。今年の、理系問6もそんな感じがする問題。

問6

(1)  cos3θ、cos4θをcosθの式で表せ。

(2)  p3以上の素数とする。cosθ=1/pのとき、θ/πは無理数か。

 

方針:(1)(2)のヒントになっていることは容易にわかるだろうけれど、私には、どうヒントなのかわからなかった。そこで、cos5θとsin3θ〜 sin5θまで書いてみたら、ようやく解答方針がわかってきた。 (1)のヒントだけで方針を立てろと言われたらつらい。

 

 cos2θ=2cos2θ−1

 cos3θ=4cos3θ−3cosθ

 cos4θ=8cos4θ−8cos2θ+1

 cos5θ=16cos5θ−20cos3θ+5cosθ

sin2θ=2cosθsinθ

sin3θ(4cos2θ-1) sinθ

sin4θ=(8cos3θ―4cosθ) sinθ

sin5θ(16cos4θ−12cos2θ+1) sinθ

 

(2)の解答

最初に、n2のとき、cos(nθ)sin(nθ)は以下のように書き表せることを数学的帰納法によって示す。

 cos(nθ)2n-1cosnθ+fn-2(cosθ)

 sin(nθ){2n-1cosn-1θ+gn-2(cosθ)} sinθ

    ただし、fn-2(x)gn-2(x) n-2次以下の整式

(示し方は簡単なので割愛)

cosθ=1/p  θ=(m/n)π  (p3以上の素数、mnは整数)とする。

このとき、cos(nθ)は明らかに整数であり、cos(nθ)2n-1cosnθ+fn-2(cosθ)であるから、

両辺にpn-1を掛けると、fn-2(cosθ)×pn-1は整数であるから、2n-1/p は整数となる。

これは、p3以上の素数であることに矛盾する。

すなわち、cosθ=1/pのときθ/πは無理数です。