『国際法からみた北方領土』 高野雄一 岩波ブックレット(1986.5)
   薄いブックレットであるが、北方領土問題を国際法の立場から明快に説明している。
   
『戦後日本の再構築 領土 外国人参政権 九条と集団的自衛権 東京裁判』広瀬善男/著 信山社(2006.8.30)(本の表紙はここをクリック
  戦後日本の領土・外国人参政権・集団自衛権・東京裁判の問題を、主に国際法の立場から専門的に検討している。テーマが多義にわたるため、個々の問題に対しては、説明不足の感がある。北方領土問題に関しては、最初の30ページほど。著者は、日本には北方領土を要求することは可能との論であるとの見解であり、また、竹島問題については、日本の領有権要求に対して、かなり否定的な見解である。しかし、どちらの問題も、もう少しいろいろな視点から検討して欲しかった。
 
『サンフランシスコ平和条約の盲点』 原貴美恵/著 渓水社(2006.6.10) (本の表紙はここをクリック
 この本は、学術論文であって、一般向けの解説本ではない。サンフランシスコ条約における領土問題処理のうち、戦後冷戦構造の中で問題点として残された事項を詳細に説明。
 内容は、朝鮮処理・台湾処理・千島処理・ミクロネシア処理・南極・南沙西沙処理・琉球処理のそれぞれに対して、詳述されている。参考文献も多い。
  
『日ソ国交回復の史的研究 戦後日ソ関係の起点:1945〜1956』 田中孝彦/著 有斐閣(1993.9.30)
 8章のうち、最初の1章はサンフランシスコ条約交渉における、北方領土の扱いであり、他の章は、日ソ国交回復交渉の経緯について書かれている。内容は、詳細厳密である。日ソ国交回復交渉の専門的研究書。
 
『北方領土問題の真相 千島列島とヤルタ会談』遠藤晴久/著 有信堂(1968.6.1)
 ヤルタ協定のいきさつと法的問題を中心に、北方領土問題を説明している。ただし、その後明らかになったことや、新たな議論もあって、今ではこの本の内容は時代遅れになっているように感じられる。
 
『世界の領土・境界紛争と国際裁判 外交交渉と司法的解決を目指して』 金子利喜男/著 明石書店(2001.5.31)
 日本の領土問題の解説、領土問題における国際裁判の利用、領土問題に関する国際裁判の解説の3つからなる。領土問題に関する国際裁判の解説では、北方領土問題などと国際裁判の関連を知るために重点が置かれている。日本の領土問題解決に国際裁判を利用すべきと主張している。
 1933年の東部グリーンランドの法的地位事件の解説では、地理上の名称を用いた条約では、名称は普通の意味で解釈されなくてはならないとの原則が示された。このため、国際司法の場では、サンフランシスコ条約で日本が放棄した千島には、国後・択捉が含まれると解説している。
 
『領土帰属の国際法』 太寿堂鼎/著 東信堂(現代国際法叢書)(1998.8.28)
 領土の先占は国際法上どのように成立してきたのかを説明し、そのあとで、竹島・北方領土問題に当てはめて、領有権問題を説明している。ただし、昔の論文・講義をまとめたような内容で、一冊の本として、突っ込んだ議論が十分なされていないような印象を受ける。竹島問題については、すでに誤りが指摘されている点が多い、川上氏の研究成果をそのまま事実としているなど、今となっては、事実関係の点で既に時代遅れの感を受ける。北方領土に対しては、国際法の観点からの説明は少なく、歴史的観点の説明が大部分を占める。しかし、それも、記述の内容が少ないため、この本だけで満足な理解は得られないだろう。
 
国際判例研究 領土・国境紛争 波多野里望、筒井若水/編著 東京大学出版会(1979.2.28)
 領土問題に関する紛争で、仲裁裁判・司法裁判の判例の解説
  
『東京裁判 上巻・中巻・下巻』 朝日新聞法廷記者団/編 東京裁判刊行会(1962)
 東京裁判の起訴状・弁護側反論・判決・少数意見の多くが日本語に翻訳されている。東京裁判を知る上で欠かせない資料。
 
『東京裁判 上・下』 朝日新聞東京裁判記者団 講談社(1983)
 東京裁判の経緯の説明。