尖閣列島問題参考書


『暗闘 尖閣国有化 春原剛/著』新潮社(2013.7)




2010年に尖閣周辺で、中国漁船と海保巡視船との接触があり、海保は漁船員を逮捕した。この事件をきっかけに、日中が鋭く対立した。結局、起訴猶予処分で終了したが、その後の、日中対立が今も続いている。

本書は、この衝突事件と、政府の対応から、その後起こった、石原の尖閣購入発言、政府による尖閣国有化に至る経緯を、主に日本政府内部・関係者の動きを中心に記載している。

 何を書いているのか、意味不明の箇所がある。

第二次大戦後、尖閣諸島は一時期、沖縄とともに米国の施政下に置かれた。しかし、一九七二年の沖縄返還に伴って、すべての島が日本に返還された。その頃は日本による統治が粛々と続いていたが、一九六九年にその周辺に石油資源が埋蔵されている可能性が判明したことから事態は一転した。一九七〇年に入ると、中国と台湾が尖閣諸島について自らの領有権を主張し始めたのである。(P54)

 これ、どういう意味でしょう。『その頃は日本による統治が粛々と続いていた』と書いてあるが、『その頃』とは、1972年に日本に返還された当時のことでしょうか。だとすると、「1969年に事態は一転した」に繋がりません。もし、『その頃』が、1972年より前だとすると、米国の施政下で『日本による統治が粛々と続いていた』ことになり、意味が通じない。


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