尖閣列島問題参考書


「尖閣問題Q&A―事実を知って、考えよう」 岸本和博/著 第三書館 (2013/11)



尖閣問題を冷静に考えてみたい人にはお薦めの本です。





尖閣問題に対して、日本政府の主張に批判的な立場での記述。Q&A形式で書かれている。本の前半が、尖閣諸島領有問題で、後半が、排他的経済水域の話。

領土問題に関して、多くの本は、日本の正当性を主張する立場で書かれているが、本書は、それとは逆の立場なので、著者の考えに、賛同しない人も多いだろう。一つの事実に対して、どのような解釈をするのか、あるいは、どのような心情を持つのか、それは、人それぞれだ。

 しかし、尖閣問題で、日本の立場を主張する多くの本は、日本に都合の悪い事実を無視して、さらに、事実と異なる虚偽や、故意に誤解を与える記述をすることがある。本書は、日本に都合の悪い事実を積極的に取り上げており、尖閣問題を総合的に判断するためには、欠かせない材料になる。

 ただし、尖閣問題について、日本の主張をまったく知らない人が読んでも、得るものは多くないかもしれない。日本政府の主張を知っている人が、この問題に対して、さらに理解を深め、問題を自分なりに考えるためには、好適な参考書だ。

 ところで、「山田吉彦/著 すぐわかる日本の国境問題 (2013.12)海竜社」は、尖閣諸島は明の時代から中国領だったとの中国の主張はウソであるとした後に、琉球の人々は、尖閣諸島へ、小型船・サバニで出漁していたと説明している(P102)。
 この件について、本書では、それは有り得ないと、具体的理由をあげて説明している(P21,P22)。山田吉彦の説と、岸本和博の説のどちらが正しいのか、あるいは、両説は矛盾しないのか、落ち着いて考えてみることは有益だ。 

 領土問題では、とかく、自国の主張のみが正しいと、短絡的立場に陥りがちである。本書を読んで、冷静になると良いと思う。



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