尖閣問題理解のため、重要な参考書

村田忠禧/著『史料徹底検証 尖閣領有』花伝社 (2015/1)


 日本政府は、尖閣はどの国の領土でもない無主の地であることを慎重に調査した上で領有したと説明している。本書は、公開公文書を丹念に調査し、尖閣に対する日本政府の説明を否定している。事実を綿密に調査した上で、結論に至る著者の真摯な態度には好感が持てる。
 本書によると、日本が尖閣は無人島であることを調査したのは、1885年10月の一回だけで、このときの調査結果を受けた日本政府は、清国との係争を懸念して、日本領土への組み入れをしていない。日本が、尖閣領有を決めたのは、日清戦争で日本の勝利が確定的となった1893年のことだった。その間、尖閣を調査した事実はない。
 本書の内容は「明治の琉球処分の経緯」「沖縄県令・西村捨三の沖縄統治」「尖閣領有の経緯」である。また、本の後ろ1/3には、重要な公文書が掲載されているが、手書きの文書が活字化されているため、領土問題の研究や高度な学習に便利。


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