大島隆/著『アメリカは尖閣を守るか 激変する日米中のパワーバランス』 朝日新聞出版 (2017/6)
トランプ大統領は同盟国を守ることよりも、負担を求める姿勢が目立つ。
本書は、アメリカの主張がなんであるかを説明した後、尖閣に対するアメリカの立場を説明する。沖縄返還以来、アメリカは尖閣の施政権を日本に返すが、領土問題に関しては関係当事国で決定すべきものとの一貫した態度をとっている。本書では、アメリカのこのような態度がどのようにして起こったのか、歴史的経緯が明らかにされている。この部分は、ロバート・D・エルドリッヂ/著『尖閣問題の起源―沖縄返還とアメリカの中立政策』に詳しい。
アメリカのこうした尖閣に対するこれまでの経緯を踏まえたうえで、今後アメリカが尖閣とどのようにかかわってゆくかを予想している。
本書に書かれた内容は、これまですでに知られたことが多いので、アメリカと尖閣の関係について知見のある者にとって、特に目新しい内容は感じられないかもしれない。
ただし、本書は新聞記者の執筆であるためか、他書に比べて格段に読みやすい。