尖閣諸島(釣魚島)問題はどう論じられてきたか
 
倪志敏/著『尖閣諸島(釣魚島)問題はどう論じられてきたか―日中国交正常化・平和友好条約交渉過程の検証』 アジェンダ・プロジェクト (2016/08)
 
 64ページの薄い本。
 本の2/3は日中両政府は尖閣問題を棚上げ合意したことを示している。この問題は、 『岡田充/著・尖閣諸島問題―領土ナショナリズムの魔力』 『矢吹晋/著・尖閣問題の核心―日中関係はどうなる』『孫崎享/著・日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』 など、いくつかの著書に詳しい説明がある。
 
 日本政府は、尖閣はどの国の領土でもない無主の地であることを慎重に調査した上で領有したと説明している。
 本の1/3では、この問題を解明している。日本が尖閣は無人島であることを調査したのは1885年10月の一回だけで、このときの調査結果を受けた日本政府は、清国との係争を懸念して日本領土への組み入れをしなかったが、日清戦争で日本の勝利が確定的となった1893年に、尖閣を調査をせずに、領土を日本に組み入れた。この問題は、『村田忠禧/著・史料徹底検証 尖閣領有』に詳しい。
 
 このように、本書には特に目新しい内容があるわけではないが、尖閣問題の棚上げ合意と、日本の尖閣領有のいきさつという尖閣問題を理解するうえで重要な2点について簡潔にまとめられており、一読の価値はある。

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