琉球救国運動 抗日の思想と行動

   
後田多敦/著『琉球救国運動 抗日の思想と行動』 Mugen (2010/12)
  
 脱清人について、詳しい参考書。
  
 江戸時代の琉球は、独立国であると同時に中国(清)の服属国であり、さらに、薩摩藩が支配していた。中国の服属国と言っても形式的なものであり、薩摩藩の支配と言っても外交の権限や行政・司法の権限は琉球王府にあった。明治になると、明治政府は琉球を日本の一部にしようとした。すなわち、すべての行政・司法の権限を琉球から取り上げ、清国との外交も停止するように命じた。
 これに対して、琉球は激しく反発。中国に助けを求めた。しかし、明治政府は、国王を東京に連れてきて、日本の支配に反対するものを逮捕・拷問して琉球の接収を確定した。琉球が日本になった後も、反対運動は続き、中国に合法・非合法に渡航して、抵抗運動をする人も多かった。
  
 本書は、琉球が日本領土となる過程と、反対して中国に渡った人たちの記述が詳しい。ただし、中国に渡った人たちの中国における活動の記述は少ない。
 琉球が日本になった後、琉球王府は「丸一店」を作って、琉球独自の経済活動を行うことになったが、これに対しても詳しい記述がなされている。
 日清戦争に日本が勝利し、琉球が日本領であることが日中間で確定すると、日本に抵抗する人たちも少なくなっていった。しかし、今度は、琉球人に対して徴兵の義務が課されるようになったため、兵役を忌避するために、中国に逃れる人たちが現れる。本書ではこの問題に一章を当てている。

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