尖閣問題参考書
松島泰勝/著『琉球独立論』バジリコ (2014/7)
琉球独立論を唱えることが、悪いことだとは思わないが、当面、可能性があるとは思えない。
2013年、龍谷大学経済学部教授・松島泰勝らは、琉球の独立を前提として、琉球独立に関する研究・討論を行う「琉球民族独立総合研究学会」を設立し、琉球独立の啓蒙活動を行っている。本書は松島泰勝の琉球独立の理論的裏付けを与えるもの。
本書は、3部に分かれる。
第1部は琉球の歴史の簡単な解説。元々、琉球は独立国であって、江戸時代は薩摩の支配を受け入れていたが、独立を失っていたわけではなかった。明治になって、日本に武力併合された。
本書の琉球史解説部分は、ページ数の関係で、内容が薄いと感じる面もあるが、簡潔にまとめられ、琉球史全体が見渡せるように書かれている。読んでおく価値はある。
第2部は琉球独立論の正当性の説明。
琉球独立は正当であるとの論は理解できる。しかし、それは一面そうなのであって、別の面からみたら独立しない方が良いとの論も成り立つだろう。独立しないことは誤りで、独立が正しいとまでは、思えなかった。
第3部は独立の方法論。
もし、沖縄県民の圧倒的多数が独立を志向しているならば、ここに書かれた論も、ある程度現実的なのかもしれない。しかし、現在、沖縄県民の中で、独立を志向する世論は圧倒的に少数派だろう。琉球独立への道で、第一にしなくてはならないのは、独立の世論を盛り上げることだ。本書には、そのことへの言及がほとんどなかった。これでは、空理空論ではないか。