本の紹介−宗教と政治の転轍点    2022年11月28日

 
  
塚田穂高/著『宗教と政治の転轍点 保守合同と政教一致の宗教社会学』花伝社 (2015/4)
 
 日本における、宗教団体の政治へのかかわりに関する研究書。統一教会の話はない。
 本書は二部構成で、第一部は自民党を支持する宗教団体。第二部は自ら政治へ進出した/進出しようとした宗教団体。このほかに、序章と終章がある。第一部が1/4で、第二部が3/4程度。
 第一部は、神社本庁や仏教系の既存宗教の話もあるが、生長の家・真光・立正佼成会・念法真教・解脱会など新宗教と自民党とのかかわりの記述が多い。
 第二部は、自ら政治へ進出した/進出しようとした宗教として、創価学会・世界浄霊会・オウム・女性党・幸福の科学、5つの新宗教を取り上げる。
 そういうことで、本書の内容の多くは、新宗教と政治とのかかわりで、既存宗教の話は少ない。本書は研究書であるから、これら新宗教がどういう宗教で、どのように政治にかかわったか、事実を客観的に記載している。
 このため、客観的事実を理解する上で、本書は有益なのだけれど、新宗教には、教祖の金銭欲や権力欲が信仰の動機であることがあるから、これら打算の結果として、政治との癒着・進出の可能性があり、この点のはどう考えてよいのか、分からい。
 それから、本書には、統一協会と自民党との癒着に関する記述はなく、終章に「傍観できない」との指摘があるのみ。
 また、翫正敏のように、真宗大谷派の僧侶でありながら社会党の議員だった人もおり、平和運動等の社会運動で、野党と宗教が連携していることがあるが、本書では自民党・公明党以外の既存政党との関係には触れられていない。
 また、昨今、信者を増やしている真如苑は、政治やマスコミ取材に消極的であることが知られている。新宗教のなかで、政治に積極的なところと消極的なところの違いは何なのだろう。
 


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