本の紹介−その「宗教」は本物か       2023/2/6



和賀眞也、花田憲彦/著『その「宗教」は本物か 旧統一協会の不都合な真実』 福音社 (2022/9)
 
 著者の和賀は牧師であり、統一協会被害者救済団体エクレシアを主宰。著者の花田は統一協会信者となった後、和賀の説得で脱会し、その後、牧師となり、統一協会被害者救済にあたっている。
 本書は二人の牧師の執筆のため、キリスト教の立場から統一協会を批判する視点がある。また、著者の花田は統一協会のマインドコントロールを受け、そこから回復した。本書には、この時の体験が詳しい。脱会するためには、家族のサポートと、統一協会問題に詳しい人のサポートが欠かせないようだ。

 著者の花田は、統一協会と自民党の癒着や、統一協会と警察の癒着関係について、自己の経験から以下の記述をしている。

 自民党とのつながりは、当時から耳にしていました。私の先輩信者たちは、勝共連合の選挙活動に駆り出され、全員留年を余儀なくされました。当時、応援する議員として名前が挙がっていたのは、自民党の0氏、A氏、K氏といった顔ぶれでした。
 時々、私のもとに公安警察からの電話が入りました。公安警察官と駐車場で密かに落ち合い、近くの喫茶店で情報交換をしたものです。公安警察は学内の左翼過激派組織を取り締まりたいのですが、キャンパスには入れないので、統一協会員である私を利用していたのです。(P81,82)
 著者が統一協会信者だったのは1988年から1990年であり、霊感商法が盛んだった時期だ。この時期でさえも、警察や自民党は統一協会と癒着関係にあったとは驚きだ。 

 マインドコントロールを受けて統一協会にハマるのはどうしてなのか、常々疑問だった。著者の花田はマインドコントロールを抜ける過程を次のように記している。

 聖書を知れば知るほど、「原理講論』の矛盾点が浮き彫りになっていくのです。『原理講論』の中には、聖書からの引用箇所が数多くありますが、それらのほとんどは、聖書の前後の文脈を完全に無視したものぼかりであることも発見しました。つまり、自分たちの教理を正当化するために、聖書の言葉を都合よく切り取って、『原理講論』の内容を権威づけているだけだったのです。(P120)
 統一協会にハマるときは、原理公論など教団の教え以外を学ぶことはなかったのだろうか。キリスト教系の宗教なのだから、聖書や聖書の一般的な解説書ぐらい読んでいなかったのだろうか。新興宗教にハマる人の多くが、知識を広く持とうとの意欲がなく、教団の教え以外の知識をもたないと感じることが多い。統一協会にハマる人も、広い知識を持つ意欲がなかったことが、悲劇の始まりだったのだろう。

 統一協会は宗教なので、信仰の自由の観点により、教義の問題点が報道されることは少ない。和賀牧師は、統一協会・文鮮明について興味ある事実を示している。
・統一協会の初代会長は文鮮明ではなく李昌換だった。文鮮明は犯罪受刑者だったが、朝鮮戦争の混乱で逃亡した身であるため、再逮捕の可能性を考慮して、別人を会長に据えた。(P23)
・文鮮明は「血分け教会」と騒がれた金百文の弟子で、乱脈な女性関係があった。(P24) (「血分け」とは教団内のsexリレー。集団乱交とは異なる。)
・統一協会の聖典である「原理公論」は金百文の書いた「基督教根本原理」のコピー。なお、金百文は「血分け教会」として韓国社会から指弾されたカルト教団の教祖。(P26)
・文鮮明は女性信者を妊娠させた事実が発覚しないため、彼女と護衛を日本に密に入国させていた。この二人をサポートするために、崔奉春(日本名、西川勝)を日本に密入国させた。崔奉春は逮捕後逃亡して不法滞在を続け、日本における統一協会の基礎を築いた。(P34)

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