本−ウクライナ戦争をどう終わらせるか               2023/3/20

東大作/著『ウクライナ戦争をどう終わらせるか 「和平調停」の限界と可能性』岩波書店 (2023/2)
 
 ウクライナ・ロシア戦争の理解のためには、特に、読むことをすすめない。

 著者は、NHKディレクターを経て国際政治が専門の学者。国際紛争の和平調停などのも関与している。
 本書は、ウクライナ・ロシア戦争を、国際紛争の観点のみから見ているようで、記述の限界を感じる。
 ウクライナと言っても、東ガリツィアとドンバスとはかなり様子が異なる。ドンバスのウクライナ人の多くはロシア系でロシア語を母語とし、ガリツィア方言がもとになっているウクライナ語は近年ウクライナ政府によって学校教育で強制されて習得しているに過ぎない。東ガリツィアとドンバス以外の地域も、ロシア系・ウクライナ系は地域によって異なり、また住民の民族以外でも、ブコビナやザカルパチアなど住民の意識は異なる。
 もともと、ウクライナとロシアは同一のスラブ人で、それを、政治の都合で、民族や国家を分裂させたに過ぎない便宜的なものだ。しかるに、本書の著者は、ウクライナ・ロシアという別々の国家、別々の単一民族のように考えているようで、紛争の正しい理解には及ばないように思える。


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