本の紹介−歴史の逆流       2023/4/25

 
長谷部恭男、杉田敦、加藤陽子/著『歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く』朝日新書 (2022/12)

 第1章、第2章、第4章は、「説明しない政治」、選挙と支持率の問題、国葬の問題など、現代日本政治の問題を扱っている。
3人の対談内容は、もっともだと思うのだが、新聞報道などでも、同様のことは言われているので、特に目新しい内容はないように感じた。もう少し、突っ込んだ内容を期待していたのだが、ちょっと期待外れ。
 第5章は政治と宗教、特に統一協会と自民党の関係。対談している3人は、法学・政治学・近代日本史の専門家であって、宗教の専門家でも、宗教と自民党の関係を取材している人でもないので、一般的な話に感じる。
 第3章、第4章はロシア・ウクライナ戦争に関する3人の対談。ロシア・ウクライナ戦争を理解するためには、国際政治の他に、地域問題、民族問題など、地域特有な知識が必要だ。対談している3人の中に、この地域に関する専門家がいないので、議論が上滑りになって、当を得ていないように感じる。P138,P139で、加藤はガリチアと小ルーシの歴史の違いを指摘している。しかし、今回の戦争はドンバスとキエフの違い、あるいはキエフ地域内部の民族問題が背景にあるので、加藤の歴史経緯の指摘はピント外れだろう。いずれにしても、この部分は、専門外の人のおしゃべりで、読む価値を感じない。


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