本の紹介−日本のカルトと自民党    2023年05月15日

橋爪大三郎/著『日本のカルトと自民党』集英社新書(2023.3)
 
 著者は社会学者で、元・東京工業大学教授。
 生長の家(日本会議)と統一協会と自民党等との関係が本書のテーマ。
 
 生長の家は谷口雅春が作った新興宗教。現在、生長の家は政治とは関係を持っていないが、生長の家、中心メンバーが作った日本会議が自民党に食い込んでいる。日本会議と自民党の関係については『菅野完/著 日本会議の研究』を参考にしているようだ。ただし、本書には、生長の家・谷口雅春の教義や歴史について詳しい。
 統一協会は文鮮明が作り、現在、韓鶴子が主宰している新興宗教。本書では、統一協会と自民党との関係も書かれているが、それほど詳しくはない。統一協会問題を扱った他書に比べて、統一教会の教義や歴史が詳しい。
 生長の家・統一協会ともに、普通の宗教ではなくて、かなり、いかがわしさを感じる。統一協会の教義は、キリスト教とは著しく乖離していることがわかる。
 
 本書最終章は、民主主義と政教分離の問題を扱っている。創価学会・公明党が政治に食い込んでいる状況は、民主主義の政教分離の観点からみて、非常に良くないことであるとの指摘がある。もっともな判断だ。


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