竹島問題参考書
『竹島/独島問題の平和的な解決をめざして』子どもと教科書全国ネット21/著 (2010/12) つなん出版
現在、竹島問題を学校教育で教えることになっているが、ほとんどの学校では、日本政府の主張のみを教えている。本書は、このような教育が果たして正しいのかとの観点から出発して、竹島問題をどのように教育するべきかと問題に主眼が置かれているようである。ただし、本書の内容は教育の方法論よりも、むしろ竹島問題の歴史的経緯や解決方法の提言にページ数を割いている。
ただし、81ページの薄い本なので、竹島問題の詳しい内容が書かれているものではない。
竹島問題は、日韓両国の領土問題であるため、お互いの政府が自国に都合のよう主張を繰り広げているが、本書では、日本人と韓国人の研究者の解説を載せることにより、なるべく中立的立場での問題解明を試みているようで好感が持てる。もっとも、本書を執筆している人は、それぞれ自国政府の主張にとらわれることなく、中立的観点の人達なので、各執筆者の論が大きく異なっているわけではない。
竹島の歴史的経緯は、池内敏教授の解説。池内教授の竹島研究は、まとまった本が出版されており、日韓どちらの主張にも偏ってはいない内容だが、記述には疑問点も多々ある。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2013/01/31/6707376
本書の池内教授の執筆分も同様な疑問を感じる。
領土問題は、一方の主張のみを教え込むことで解決するものではない。冷静に事実を考え、冷静な対処を図る上で、教育関係者はもとより、竹島問題に関心のある人には、一読の価値はあるだろう。