竹島問題参考書



『欝陵島・独島(竹島)歴史研究』 宋炳基/著、朴炳渉/訳 (2009/12) 新幹社




 この本は、竹島韓国領論なのだけど、そのことを論証するというより、竹島が韓国の領土であることを前提として、歴史的経緯を説明している。
 本の内容は、古代の鬱陵島・竹島、安龍福証言、鬱陵島の歴史、近代の竹島領有の話など。竹島問題よりも、鬱陵島の歴史の話が多い。
 
 安龍福証言について、竹島日本領論を唱える人たちは、信用できないとして切り捨て傾向にある。本書では、安龍福証言には、誇張・誤りがあるが、おおむね事実であるものとしている。安が言った内容が事実であるかどうかはともかくとして、安が言ったこと自体は事実と思われるので、安証言を単純に切り捨てることはできない。特に、八道正図に子山島が描かれていること、および、子山島は日本で言う松島(現・竹島)であることは事実だろう。このため、竹島が朝鮮領であることを日本に対して直接主張した、最初の朝鮮人であることは、ほぼ間違いない。
 
 本書の記述内容には賛否両論あるだろうけれど、安龍福証言・鬱陵島史などを知るうえで、重要な参考書だ。また、参考文献が詳細豊富で、研究にも便利。
 
 竹島が古来から朝鮮の領土であるとする証拠はたくさんあるようだ。ただし、現在の国際法における領土に該当するか、あるいは、裁判の証拠として、十分な挙証能力を持つかというと、怪しい。
 一方、古来、竹島が日本の領土でないとする証拠もたくさんある。もちろん、昔のことなので、文献解釈は絶対ではないため、反論の余地はある。


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