竹島問題参考書


『メチのいた島』 すぎはらゆみこ/著、 かみなかおさむ/イラスト 山陰中央新報社 (2014/03)




 子供向け絵本

 内容は、竹島で捕獲したニホンアシカが飼われていた池で、ニホンアシカと遊んだ小学生の話をした後に、竹島は日本の領土であると一方的に説明するもの。
 小さい子供に、事実の都合よい部分だけを教え込んで、大人の都合に適した教育を押し付ける典型的な手法に感じる。このような教育は、一般に行われ、特に、成績が悪い子供をしつけるためには、もっとも有効な手段なので、自分の子供が、成績が良くないと感じている人は、この本を子供に見せて、領土問題の学習に使うことも有効だろう。ただし、優秀な子供は、自分で考える習慣をつけさせるべきなので、この絵本は、あまり役に立たないと思う。

 この本を読むと、「日本が竹島で漁をしていた時代、ニホンアシカも楽しく暮らしていたのに、今では、竹島は韓国に不法に占拠され、ニホンアシカも絶滅してしまった」と感じるだろう。領土の領有権には、日韓政府で異なった主張があるが、それとは別に、ニホンアシカは、明治の終わりころの乱獲によって、急激に個体数を減らし、その後、絶滅に追いやられたものだった。捕獲方法は、撲殺が多く、竹島の浜は、ニホンアシカの死体で、真っ赤に染められていた。
 絵本に書かれているニホンアシカと、現実の漁とは、だいぶ異なっている。

   なお、本書でも「島根県立三瓶自然館サヒメル」に展示されているニホンアシカの写真を使っているが、この館の展示パネルには、事実が正しく書かれている。絵本を読むよりも、まじめな博物館の展示を見たほうが有用だ。

悲劇の海獣 ニホンアシカ
 ニホンアシカは、今では絶滅したとされる悲劇の海獣です。かつては日本近海に広く生息し、江戸時代の終わり頃までは4〜5万頭が生息していたといわれていますが、19世紀末から20世紀初頭にかけて多くの場所で乱獲が行われ激減してしまいました。最後の集団繁殖地であった竹島でも、1904年(明治37)から8年間で14,000頭ものニホンアシカが捕獲されました。そして、皮はカパンなどの皮革製品に、皮下脂肪は油に、肉や骨は肥料に利用され、幼獣は生け捕りにされてサーカス用に売られました。当時、アシ力猟は一種の産業として成り立っていましたが、適切な資源管理を怠ったため、種の絶滅をまねいてしまいました。
 (「島根県立三瓶自然館サヒメル」展示パネルより)

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