『独島・鬱陵島の研究―歴史・考古・地理学的考察』洪性徳・ 保坂祐二・他/著 (2015/12) 明石書店
鬱陵島と竹島に関する次の5件の歴史研究論文が収められている。これらの論文相互には、特に関連はないので、どれから読んでもよい。竹島領有権問題というよりも、竹島問題で重要な歴史的事実や鬱陵島の古代史など、関連する史実の解明に重点が置かれた、学術書である。
洪性徳/著『17世紀後半の韓日外交交渉と鬱陵島』
保坂祐二/著『高宗と李奎遠の于山島認識の分析』
朴三憲/著『明治初年太政官文書の歴史的性格』
呉江原/著『古代鬱陵島社会と集団に関するいくつかの問題』
任徳淳/著
『独島の機能、空間価値と所属』
『17世紀後半の韓日外交交渉と鬱陵島』は安龍福事件のときの、幕府・朝鮮・鳥取藩・対馬藩・大谷家の利害関係を調べることにより、この時、鬱陵島が朝鮮領土に確定した経緯や安龍福への対応などについて言及している。論文の主眼は鬱陵島交渉であって、竹島問題への言及は少ない。
『高宗と李奎遠の于山島認識の分析』は、朝鮮において于山島認識がどのように歴史的変遷をしてきたかを明らかにしている。また、勅令第41号の「石島」が日本でいうところの当時の松島、すなわち現・竹島であるとしている。
『古代鬱陵島社会と集団に関するいくつかの問題』は鬱陵島の発掘調査の解説。古代鬱陵島氏に対する研究の現状が理解できる。
『独島の機能、空間価値と所属』は竹島が朝鮮の領土であることを説明する論文。竹島が朝鮮の領土であるとする歴史的根拠が簡潔にまとめられている。
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