北方領土問題参考書
山本皓一/著 『日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記』小学館(2007/5/31)
著者は写真家です。この本は、著者が撮影のために行った、日本の国境係争地の上陸記です。写真家の著書であるため、若干の写真も掲載されていますが、写真は多くありません。
写真の本としてみると、これら地域の写真としては、出色のできですが、写真の掲載点数が少なすぎます。
上陸記として見ると、それほど興味ある文章では有りません。まあ、この点は、好みによりますが。
領土問題の解説も、安倍総理との対談を含めて、かなりのページ数に上ります。しかし、内容は、日本の政治家の政治宣伝や、簡単なパンフレットをそのまま書いているような程度です。
竹島問題では、最近、岩波書店から内藤正中氏等による、しっかりした解説書が出版されているので、それと比べると、内容がプアーなだけではなく、日本に都合の良い我田引水的解釈が、そのまま史実であるかのような記載になっています。
北方領土問題の解説書として見ると、類似の本(北方領土の上陸記で写真があるもの)は、ソ連崩壊のときに多数出版されています。これらの本は、領土問題の解説書としても、しっかりしているものがたくさんありました。これらの本に比べると、ずいぶん内容が貧弱です。この本の解説を読むならば、無料のパンフレットでも読んだほうが、ましかもしれません。
領土問題の解説を書くのならば、もう少し、まともな本で勉強してからにして欲しかった。
ただし、マンガしか読んだことのないような青少年が、領土問題に関心を持ったときに、初めて読む本としては、面白いかもしれません。