北方領土問題参考書



アイヌモシリ奪回 堀内光一/著 社会評論社(2004.1.15)



 明治以前、北海道の広い範囲は、そこに暮らすアイヌたちの共有地だった。明治になると、アイヌは旧
土人の名の下に激しい差別を受け、ごく一部の土地を残して、日本人の土地として接収された。名目上アイヌに残された共有地の多くは、北海道の管理とされた。1997年に成立したアイヌ文化法により、アイヌ共有財産の返還が決定されたが、その財産には土地や漁業権は全くなく、146万円の現金のみで、アイヌ共有地は、アイヌの知らぬ間に奪われてた。なお、北海道は委託された共有地の管理をどのようにしたのか、その明細を明らかにしておらず、奪い取った手口はあまり解明されていない。

 この本の1/5程度は、旭川アイヌ共有地がどのようにして奪われたか、詳述されている。アイヌ関連の法律には、北海道旧土人保護法のほかに、旭川市旧土人保護地処分法(昭和9年法律第9号)があるが、旭川のケースが特別立法になったいきさつも詳しい。

 この本の多くは、厚岸アイヌ共有地がどのようにして奪われたかについて、詳細な説明がなされている
。アイヌ共有地の管理委託された北海道は、この土地を日本人に極端に安価な価格で貸付け、アイヌに課した税額を下回ることになった。このため、アイヌは知らずに借金を背負わされることになり、未納の税
金を返済するために、土地を売らされた。こうしてアイヌの土地は奪われていった。

 厚岸沖の小島にはアイヌ共有地があったが、波浪により滅失と嘘をついて、アイヌから土地を奪った。
この小さな島のわずかな土地が奪われたいきさつが極めて詳しい。


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