北方領土問題参考書
著者は、敗戦当時、エトロフ島で残置諜報員として現地除隊となり、ソ連進駐後は豊浜で現地小学校の教師を務める。翌年2月には天寧に移り、校長としてソ連軍政当局との折衝に当たった。11月にソ連が民政に移管し、紗那が行政府になると、入里節に写って小学校教師を務めた。
本の内容は、豊浜・天寧時期の手記。書かれている内容のすべてが事実ということはないが、ソ連軍政下のエトロフ島残留日本人(民間人)の生活の様子が良く分る。豊浜での話は、ソ連進駐当初の住民の様子の記述が興味深い。天寧では、日本人とロシア人との交流の様子も詳しく記されている。
『残置諜報員の記録』には、入里節時代の記述は無い。『エトロフ島の俄教師の手記』には、数ページ入里節時代の概要が書かれている。