北方領土問題参考書



千島アイヌの軌跡 ザヨンツ・マウゴジャータ/著 草風館 (2009/04)



 著者は、北海道大学・千葉大学で千島アイヌ研究を行っている。

 千島アイヌとは、北千島・占守島を中心に、北千島に居住してた100人ばかりのアイヌのこと。北海道アイヌとは異なった言語を持っていた。樺太千島交換条約以降に色丹島に強制移住させられ、そこで次第に人口を減らす。戦後の生き残りは日本に移住したが、千島アイヌ語を話すものはいなくなった。
 これまで、色丹島強制移住後の千島アイヌの状況を紹介する本はあったが、ロシア統治下の千島アイヌの研究はなされていなかった。本書は、日ロ双方の資料を基に、ロシア統治下から終戦までの千島アイヌのおかれた状況を詳細に研究している。

 本書第1章は、ロシア統治下の千島アイヌの話で、生活・習俗とロシア正教の普及とロシア化について記されている。
 第2章は樺太千島交換条約以降色丹島強制移住までの話。交換条約で北千島が日本の領土になると、これまでそこに住んでいた人たちは、ロシアに移住するか、日本人になるかの選択を求められた。北千島在住のアレウト人と12人の千島アイヌはロシアに渡った。他の千島アイヌは不在のため迎えの船に乗船できずに、千島に残留した。ロシアに渡ったアレウトや千島アイヌは何の援助も受けることなく、生活は困窮を極めた。12人の千島アイヌのうち生き残ったものは、全員が再び占守島に戻った。
 なお、1992年に北海道新聞の連載で、ロシアにわたった千島アイヌの中で、日本に戻らず、子孫がポーランドで暮らす人が紹介されている。著者のマウゴジャータは、ロシアの資料を検討した結果、この報道には否定的である。

 第3章は、色丹島強制移住後の話。この時期の千島アイヌの状況については、これまでも、いくつかの本が書かれている。

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