菊池俊彦/著『オホーツクの古代史』 平凡社新書 (2009/10)
この本の主題は、必ずしも興味の対象ではないのだけれど、読んだことを忘れないように書き留めておきます。
かつて、オホーツク沿岸に栄えた海洋文化「オホーツク文化」が存在した。本書は、オホーツク文化に関連する航行学の解説書。オホーツク文化の領域には、日本が含まれるが、日本史の授業で習うことも少ないので、多くの人にはあまりなじみがない文化だろう。本書は一般の人を対象にしたもので、特に予備知識がなくても読むことはできるが、ある程度オホーツク文化を知っていないと、読み進むのが大変かもしれない。
中国・明時代の史書に「流鬼」が朝貢に訪れたとの記載がある。流鬼国の所在地について、カムチャツカ節とサハリン説があり、本書では、両説について、だれがどのような根拠でそれらの節を唱えたか、詳しい説明がなされている。
著者は、流鬼国をサハリンのオホーツク文化とし、さらに、オホーツク文化は大陸に起源をもつことを説明する。
本書では、オホーツク文化がどのような文化であったかを説明することよりも、むしろ考古学の学説としてどのように研究されてきたかに重点が置かれる。