蝦夷地と琉球
我部政男、桑原真人/編『幕末維新論集9 蝦夷地と琉球』吉川弘文館(2001.5)
『幕末維新論集 全12巻』の一冊。
本シリーズは幕末維新時期に関する歴史研究の主要論文が収められている。最新の論文ではない。各論文のテーマは一定の方向性があるが、それぞれは独立した論文なので、特に関係はない。
本書は、前半と後半に分かれていて、前半では蝦夷地を、後半では琉球を扱う。
前半には5論文があり、このうち2論文は幕末期の蝦夷地経営に関するもので、運上屋など旧来の経済勢力との関係を解明するもの。また2論文は開拓使の設置と開拓使政策を扱う。アイヌ問題を扱った1論文は次のもので、アイヌを日本人に同化させてゆく過程を通史的に扱っている。
海保洋子/著『「異域」の内国化と統合』(初出は1992年6月)
後半は琉球問題を扱った5論文。
江戸時代の東照宮参拝に対する琉球国の外交を扱った1論文、明治の琉球処分とそれに反対する脱清人の活動に関する3論文、琉球処分官から県令への統治を扱った1論文からなる。