ソ連南樺太 ソ連官吏になった日本人の記録

 
『ソ連南樺太 ソ連官吏になった日本人の記録』泉友三郎/著 妙義出版社(昭和27年7月)
 
 昭和27年発行の古い本。読む機会はほとんどないだろう。
 著者は、戦前樺太庁の役人だったため、戦後ソ連に占領されたときに、ソ連の管理として任用された。昭和22年に帰国したのちは、日本の官吏となる。本書は、著者がソ連官吏だった時代の話。今では信じられないことだが、当時、日本国内のは、ソ連を理想社会であるかのように考える人もいた。本書は、ソ連支配層をつぶさに見た著者が、ソ連の実態を著わしたもの。著者は、日本人ソ連官吏として食料調達にあたったため、ソ連が日本人住民への食糧供給に腐心している様子が分かる。
 本書の内容は、総じて言えば、等身大のソ連の実態を書いたもので、泥棒が多いことや、ソ連女性の貞操観念が低いこと、生産が上がらなくて苦労している大工など、理想社会とはほど遠いことが書かれている。
 
 ソ連に支配された時期、日本人が一方的に苦労したかのように言いふらす人たちがいるが、実態は異なる。本書は、ソ連官吏となり、ソ連・日本双方の立場を見ていた人の記述なので、当時を客観的に理解する上で参考になる。