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羽太正養(はぶとまさやす)の墓  (羽太庄左衛門)(羽太安芸守)

 旗本、箱館奉行、松前奉行。『休明光記』執筆。

 墓所:東京都品川区南品川2-8-23 鳳凰山 天妙国寺(顕本法華宗別格山)

 18世紀終わりごろになると、ロシア人の北方諸島進出、クナシリメナシの騒動、蝦夷地周辺での外国船の出没など、幕府にとって放置できない状況が起こってくる。
 寛政10年(1798)年、目付渡辺久蔵胤、使番大河内善兵衛政寿、勘定吟味役三橋藤右衛門成方らに命じて、蝦夷地の警備ならびに経営についての本格的な調査に乗り出した。大河内政寿は東蝦夷地を巡回し、三橋成方は西蝦夷地を巡視した。また、このとき近藤重蔵らによるクナシリ、エトロフの踏査が行われている。調査結果に従って、幕府は東蝦夷地の直接統治を決定した。
 寛政10年(1798)年12月から翌年1月、書院番頭松平信濃守忠明、勘定奉行石川左近将監忠房、目付羽太庄左衛門正義、大河内善兵衛政寿、三橋藤右衛門成方の5人に東蝦夷地統治の任に当らせた。彼らの蝦夷地統治の方針は、商人によるアイヌ収奪を禁止し、仁政を行いアイヌを恭順させること、および、道路を開き交易を行い、アイヌに漁具を貸し勤勉を奨励すること、極貧者には衣類・住居の手当をし、病人があるときは官医をもって治療させ、和語を用い文字を教え、風俗改めを奨励することだった。また、外国船からの防衛は、南部・津軽の両藩に命じて要地に駐屯させ、特にエトロフ島は警戒を厳重にすることとした。
 1799年2月には、寄合村上三郎右衛門常福、西丸小姓組遠山金四郎景晋、西丸書院番組長坂忠七郎高景の3名も蝦夷地掛を命じられた。石川忠房と羽太正義は江戸で勤務し、松平忠明をはじめ他の者は蝦夷地に渡った。1800年、小納戸頭取格戸川藤十郎安論、小納戸大河内善十郎政良がクナシリまで蝦夷地を巡視し、翌年には松平忠明、石川忠房、羽太正養が蝦夷地を巡視し、蝦夷地経営方針が決定した。 1802年、蝦夷地経営方針が決定したので、幕府は蝦夷地御用掛を免じ、戸川安論と羽太正養の2人を蝦夷奉行(のち箱館奉行)に任じた。この年は両奉行共に江戸勤務だったが、翌年からは1年交代で箱館で勤務となり、1803年には戸川が、1804年には羽太が箱館で勤務した。
 1807年3月、東蝦夷地に加えて、西蝦夷地も幕府の直轄地となる。翌月、ロシア船が樺太を襲撃したとの報が箱館奉行にもたらされ、さらに5月にはエトロフ島が襲撃されたとの報がもたらされる。当時、箱館に勤務していた羽太正養は南部藩・津軽藩・秋田藩・庄内藩に増派あるいは臨時出兵を命じ、総勢3000人が箱館に到着した。
 同年10月、戸川安論に交代していた時、奉行所は福山に移転し、松前奉行と改名された。このとき、戸川、羽太に加え、河尻甚五郎春之、村垣定行も松前奉行となった。
 同年(1807年)11月、羽太正養はロシア船に襲撃された責めによって松前奉行を罷免され、荒尾但馬守成章がこれに代わった。翌年4月には、戸川安論も罷免されている。

 羽太正養は1799年に蝦夷地統治の任についてから1807年に松前奉行を罷免となるまでの間の記録を『休明光記』として著わした。当時の蝦夷地行政を知るうえで第一級の資料となっている。
 『休明光記』に漏れたことなどを集めた『休明光記遺稿』が、1854年(安政元年)淡斎如水(蛯子吉蔵)によってに著された。


参考文献:函館市史 通説編1 通説編第1巻 第3編 古代・中世・近世 第3章 幕府直轄下の箱館 


 羽太家の墓は無縁墓になっているようで、線路沿いの壁際にかたずけられている。ただし、羽太家累代之墓だけ、他の墓石とは離して、わかりやすいように置かれている。寺側の配慮だろうが、有難いことだ。

羽太家累世之墓
ちょっと傾いていた
側面には漢文がびっしり 羽太家累世之墓は無縁墓になっている


 顕本法華宗は日蓮宗系の宗派で、現在、末寺約200ケ寺、公称信者数約10万人(文化庁編 宗教年鑑 平成30年版)。1941年の日蓮宗三派合同では日蓮宗・顕本法華宗・本門宗が合同して新たに日蓮宗となったが、1947年に旧・顕本法華宗の一部が日蓮宗を離脱して新たに顕本法華宗を作った。京都・妙満寺を総本山とする。顕本法華宗は日什を開祖とするが、日什の廟がある福島県・妙国寺は1947年に離脱せず、現在も日蓮宗である。
 天妙国寺の隣にはちょっと奇妙なたたずまいの真了寺がある。新興宗教の雰囲気があるが、こちらは日蓮宗の寺院。もとは天妙国寺の末寺だった。

永代供養墓
羽太正養の遺骨も合葬されているのかな
天妙国寺本堂 天妙国寺山門

最終更新 2019.7


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