領土問題参考書

沢辺有司/著「ワケありな日本の領土」彩図社 (2014/7)


  

 日本の領土問題である「尖閣」「竹島」「北方領土」をほぼ均等に解説。一般向け解説書であって、専門的内容は無いが、読みやすい。
 本の内容は、日本政府の主張が中心のように感じる部分もあるが、それだけではなく、日本で、いろいろ言われていることを、そつなくまとめたような解説。このため、これでよいのか疑問に感じる点も多々ある。
 
 一例をあげると、尖閣問題で、P26に「台湾併合とセットで捉えられやすい」との項があって、ここで、台湾併合は下関条約であって、尖閣領有はそれより3ヶ月前であるので、「台湾と尖閣は日本が力で奪った」との中国側主張を誤りであると書いている。
 しかし、日本が尖閣を領有決定したのは、日清戦争の最中だったので、尖閣に対して清国が何らかの権利を有するならば、尖閣領有は、戦争中の他国領土の軍事占領となる。戦争中の軍事占領は、講和条約によって合法化されるので、もし、下関条約以前の日清戦争の最中に、清国に権利のある領土を、日本が領土編入したのなら、まさに、暴虐・貪欲による窃取になってしまう。
 
 著者の説明は、読みやすいので、大雑把に読むならこれで良いように感じるが、きちんと読むと、論理の詰めが甘い。


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