領土問題参考書
『13歳からの領土問題』 松竹伸幸/著 かもがわ出版(2014.10)
タイトルの通り、領土問題を学んだことがない中学生を対象に、日本の領土問題を理解させる目的で書かれた図書。日本の領土問題である「北方領土」「尖閣」「竹島」問題以外にも、領土問題一般や対馬の話などにも触れられ、日本の領土問題が理解しやすいように書かれている。中学生向けに書かれた本であるが、大人でも、領土問題を知らない人には、一読の価値はあると思う。ただし、詳しい内容はない。
実効支配の解説が感心しない。P19では、『国が実効支配してはじめて、国際的にその国のものだと認められます』としている。この説明自体は誤りではないのだが、P60の竹島解説では『竹島は…船の針路の目標となり、漁場として利用されたこともありました。…こうした事実があるので、竹島は当時から日本の領土だったという考えがあります。』としている。これでは、島の領有と実効支配の関係が、日本に都合が良いようにダブルスタンダードで定めていることになってしまい、中学生用の解説には不適切に感じる。