『蝦夷草紙』 最上徳内/著 須藤十郎/編 東京経済(1994.5.30)  (本の表紙はここをクリック
 原書は幕末に書かれたもの。最上徳内は日本で最初に択捉島を探検した人。本書は最上徳内の著した『蝦夷草紙』を活字に起こしたものである。北海道・樺太・千島の当時の様子を知るため、あるいは、北方領土に日露がどのように進出したのかを知る上で欠かせない文献である。原著は幕末に書かれたものであるため、現代語とは多少異なるが、それほど読みにくいものではない。
 
北方未公開古文書集成 第三巻 『赤蝦夷風説考 工藤平助 三国通覧図説 林子平 赤蝦動静 本田利明』   寺澤一、和田敏明、黒田秀俊/編 叢文社(昭和53年7月15日)
(18世紀末、工藤をトップに北方問題の先覚者が、ロシアの南下を警告し、幕府を動かし国防を強化させた一連の代表的策論)
  
北方未公開古文書集成 第四巻 『休明光記 羽太正養』   寺澤一、和田敏明、黒田秀俊/編 叢文社(昭和53年6月20日)
(ロシアの南下に対応して、1802年、幕府が蝦夷地の直轄を断行したとき蝦夷奉行になったエリート官僚が北辺を描いたドキュメント)
 
北方未公開古文書集成 第五巻 『奉使日本紀行』   寺澤一、和田敏明、黒田秀俊/編 叢文社(昭和53年6月)
 1804年に通商を求めて長崎に来航したレザノフ一行の海軍提督・クルーゼンシュテルンの航海記。オランダ語版を入手した幕府天文方・高橋景保を中心に翻訳された。
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『サハリン島占領日記1853-1854 ロシア人の見た日本人とアイヌ』ニコライ・ブッセ/著 秋月俊幸/訳 平凡社東洋文庫715 2003.4.23
 1853年秋、ネブルスコイはアニワ湾に面したクシュンコタンにムラビヨフの砦を作った。本書は、長官ブッセの日記。当時の南樺太の日本人、アイヌの様子が詳しい。
  
『長崎日記・下田日記』川路聖謨/著 藤田貞文・川田貞夫/校注 平凡社東洋文庫124 1968.10.10
 日露和親条約締結交渉の交渉当事者による日記。川路の日記よりも、注が詳しく、当時の交渉の様子が良く分かる。
 
『千島・シベリア探検史』北構保男/編著 名著出版(1982.3.29)
 全体の1/4は北構保男による、ロシアのシベリア・千島への進出史。日本との出合までの期間について説明されている。本の残りの3/4はG・F・ミュラーのロシア人による北東シベリア・日本・アメリカ発見史の翻訳。この本は、1760年ごろ書かれたもので、この分野の研究の基礎文献となっている。
 
『武四郎千島日誌 松浦武四郎−「三航蝦夷日誌」より』 松浦武四郎/〔原著〕 榊原正文/編著 北海道出版企画センター(1996.2)
 幕末の嘉永2年に、松浦武四郎が国後・択捉を旅行したときの日記。現代語に訳されており読みやすい。当時のアイヌの置かれた状況を垣間見ることができる。
 
『知床紀行』 松浦武四郎/〔原著〕 秋葉實/編著 北海道出版企画センター(2006.11)
 幕末、松浦武四郎が3度にわたって知床半島を旅行したときの日記。現代語に訳されており読みやすい。最後の旅行では、当時アイヌの置かれた現状・和人の横暴を鋭く告発している。
 
『色丹島記』 長見義三/著 新宿書房(1998.12)
 昭和17年に千島アイヌの調査の目的で色丹島を訪れた長見義三の色丹島滞在日記。
 
『北の民俗誌 −サハリン・千島の民族−』日本民族文化資料集成23 谷川健一/編 三一書房(1997.11.15)
 明治・大正期に書かれた、サハリン・千島の民族(オロッコ・ギリヤーク・樺太アイヌ・千島アイヌ)に関する論文・調査報告を集成したもの。千島アイヌについては、鳥居龍蔵の『千島アイヌ』が有名であるが、この本には収録されていない。
 巻末に掲げられた菊池俊彦の解説「サハリン・千島の民俗誌概略」は簡潔でわかりやすい。(簡潔すぎるけれど。)
 
中俣満/偏訳 松永靖夫/監修 『北夷談 樺太探検・北方経営の先駆者 松田伝十郎の蝦夷地見聞録』  新潟日報事業社(2009年4月30日)
 1799年、蝦夷地が幕府の直轄地になると、松田伝十郎は蝦夷地取締御用係となり、エトロフ島・カラフトなどの赴任した。これは、1822年に蝦夷地が松前藩に返還されるまで続いた。
 本の内容は、数度に渡る松田伝十郎の蝦夷地赴任記録の現代語訳。文章は読みやすい。 ・・・More・・・
 
私残記  森荘已/著 中公文庫(1977年10月10日)
 本の内容は、1807年、フォボストフのエトロフ島襲撃事件に遭遇、ロシア捕虜になり、警備不備の責任をとがめられた大村治五平の手記、およびその現代文・解説。
 この本は、昭和18年に刊行されたものの復刻版であるが、序文とあとがきは新たに追記された。 ・・・More・・・
 
ジャン・フランソワ・ガロー・ド ラペルーズ/著『ラペルーズ世界周航記〈日本近海編〉』白水社 (1988/02)  
 宗谷海峡の欧米名にラ・ペルーズ海峡として名を残すラ・ペルーズは、1787年、東シナ海・日本海を北上しサハリン西岸を調査して、世界で初めて近代測量によりサハリンが島であることを確認した。沿海州東岸、サハリン西岸の調査が詳しい。さらに、最狭部に進むにしたがって水深が浅くなることを測定し、大型帆船の通行は困難であると判断した。その後、宗谷海峡を通って千島東側からカムチャツカに至った。ここで、調査記録を部下に託して陸路フランスに届けた。
 本書は、ラ・ペルーズの航海記の日本語訳。最終章にはラ・ペルーズ遭難調査について書かれている。 ・・・More・・・  
 
ゲオルク・ハインリヒ・フォン ラングスドルフ/著、山本秀峰/訳『ラングスドルフ日本紀行 クルーゼンシュテルン世界周航・レザーノフ遣日使節随行記 』露蘭堂(2016/08)  
 幕末の1804年、レザーノフを隊長とする使節団が長崎に来航し、通商を求めた。この時、幕府は、レザーノフ一行を半年間、幽閉状態に置いた末、通商を拒否した。ラングスドルフは医師・自然科学者として、この航海に同行した。本書は、ラングスドルフによる日本やアイヌの観察記。長崎の滞在は6か月の長きにわたったが、ほとんど幽閉状態だったため、日本の風俗や自然に対する記述は限られていて残念だ。日本で通商を拒否されたレザーノフ一行はその後、北海道・樺太に立ち寄った。 アイヌとは自由に交流したため、アイヌの習俗の記述がある。  ・・・More・・・    
 
『武四郎千島日誌 松浦武四郎−「三航蝦夷日誌」より』 松浦武四郎/〔原著〕 榊原正文/編著 北海道出版企画センター(1996.2)  
 幕末の嘉永2年に、松浦武四郎が国後・択捉を旅行したときの日記。現代語に訳されており読みやすい。当時のアイヌの置かれた状況を垣間見ることができる。
 内容は旅行の日記なので、いつ・どこで何を見たとか、船が動かないとかそういう記述が多い。 ・・・More・・・  
 
ワシリー・ゴロウニン/著、徳力真太郎/訳『南千島探検始末記』 同時代社 (1994/01)   
 19世紀初め頃、ゴロウニンを艦長とするディアナ号は、ロシア極東海域の精密測量を行った。中部千島の松輪島から南下してウルップ島、エトロフ島、シコタン島を調査し、クナシリ島を調査したときに、日本人役人は偽計を用いてゴロウニンを逮捕した。
 ゴロウニンは、その後、2年3か月間、松前藩に投獄された。  
 本書の前半は、千島測量の記録。千島に属する各島の経度・緯度を記録するとともに、自然状況や居住するアイヌの人たちの様子が記される。千島の正確な地図が出来上がった経緯がわかる。  後半は、逮捕されたいきさつが詳しく記されている。   ・・・More・・・