択捉島で寛永通宝が見つかったことを理由に「択捉が日本固有の領土であることを証明する1つでもある」とBlogに書いている人がいた。 どうしてこんな発想をするのだろう。日本には、渡来銭(宋銭など)ぐらい、いくらだってあるが、だからといって「日本列島は中国の固有の領土であることを証明する1つでもある」などと考えるような人はいないだろう。


 寛永年間に江戸幕府が寛永通宝を発行するまで、渡来銭(宋銭など)が使われていたので、残存銭は非常に多く、安いものならば100円もしないで容易に入手できる。
 右図は、出土渡来銭353万枚の国別内訳(参考文献 鈴木公雄/著『銭の考古学』)。圧倒的に宋銭が多いことが分る。


 唐・宋・明銭は、アイヌの遺跡からも見つかっている。

 上の写真は、根室市にあるアイヌの墓「コタンケシ遺跡」から出土した渡来銭。左から「開元通宝(唐銭)」「皇宋通宝(宋銭)」「洪武通宝(明銭)」。根室市花咲の資料館に展示されている。



 上の写真は、宗谷半島のオンコロマナイ遺跡から出土した渡来銭・煕寧重宝(宋銭)。稚内市の北方記念館に展示されている。
 また、寛永通宝は、カムチャツカや千島最北端の占守島、さらには、アムール川支流の松花河流域でも出土している。




 国立歴史民俗博物館には渡来銭の展示があり、発掘枚数が多い順に、第1位の皇宋通宝から順に並べられている。(鈴木公雄、前掲書には枚数・パーセンテージが記されている。)ここでは、国立歴史民俗博物館の展示順にしたがって、第40位の淳祐元宝までを掲示する。


第1位「皇宋通宝」から第10位「聖宋通宝」の写真と解説はここをクリック

第1位 皇宋通宝(宋銭)  第2位 元豊通宝(宋銭)
第3位 熈寧元宝(宋銭)  第4位 元祐通宝(宋銭)
第5位 開元通宝(唐銭)  第6位 永楽通宝(明銭)
第7位 天聖元宝(宋銭)  第8位 紹聖元宝(宋銭)
第9位 政和通宝(宋銭) 第10位 聖宋元宝(宋銭)



第11位「洪武通宝」から第20位「元符通宝」の写真と解説はここをクリック

第11位 洪武通宝(明銭)  第12位 祥符元宝(宋銭)
第13位 景徳元宝(宋銭)  第14位 天禧通宝(宋銭)
第15位 嘉祐通宝(宋銭)  第16位 咸平元宝(宋銭)
第17位 治平元宝(宋銭)  第18位 祥符通宝(宋銭)
第19位 至道元宝(宋銭)  第20位 元符通宝(宋銭)


第21位「景祐元宝」から第30位「嘉定通宝」の写真と解説はここをクリック

第21位 景祐元宝(宋銭)  第22位 嘉祐元宝(宋銭)
第23位 大観通宝(宋銭)  第24位 至和元宝(宋銭)
第25位 淳化元宝(宋銭)  第26位 太平通宝(宋銭)
第27位 治平通宝(宋銭)  第28位 淳熈元宝(南宋銭)
第29位 明道元宝(宋銭)  第30位 嘉定通宝(南宋銭)


第31位「乾元重宝」から第40位「淳祐元宝」の写真と解説はここをクリック

第31位 乾元重宝(唐銭)    第32位 至和通宝(宋銭)
第33位 宋元通宝(宋銭)    第34位 宣和通宝(宋銭)
第35位 慶元通宝(南宋銭)  第36位 宣徳通宝(明銭)
第37位 紹熈元宝(南宋銭)  第38位 正隆元宝(金銭)
第39位 紹定通宝(南宋銭)  第40位 淳祐元宝(南宋銭)

次点   朝鮮通宝(朝鮮銭)



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朝鮮銭  安南銭  琉球銭
清朝銭  三藩銭  


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鐚銭   長崎貿易銭   絵銭


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大銭  北方経由の渡来


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寛永通宝の海外渡出   北方地域出土の寛永通宝


(参考文献)
『貨幣の日本史 』東野治之/著 1997/03 朝日新聞社
『銭の考古学』鈴木公雄/著 2002/04 吉川弘文館
『中国の埋められた銭貨』三宅俊彦/著 2005/01 同成社
『貨幣の地域史 中世から近世へ』鈴木公雄/編 2007.11 岩波書店



 

 北方領土問題に関して、日本人が接する多くの情報は、日本政府に都合のよいものばかりです。ここでは、日本政府の都合は特に考えることなく、北方領土問題を考えてみました。