若宮啓文/著『ドキュメント北方領土問題の内幕: クレムリン・東京・ワシントン』 (筑摩選書) 筑摩書房 (2016/8/10)
 1956年、日ソ共同宣言という名前の条約が成立して、日ソ間で国交が回復した。この条約の中で、平和条約締結後に、歯舞・色丹を日本にひき渡すことが決められた。しかし、その後60年以上たっても、いまだに平和条約は締結されていない。  本書は、朝日新聞論説主幹を務めた若宮啓文による、日ソ共同宣言の交渉経緯の解説。  ・・・More・・・  
松本俊一/著『モスクワにかける虹:日ソ国交回復秘録』 朝日新聞社(1966.10.15)
 この本は、長らく絶版になっていたが、2002年に「ゆまに書房」より復刻された。
松本俊一/著, 佐藤優(解説)/著 『日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実』 (朝日選書) 朝日新聞出版 (2012/8/10)
 上記図書の新版。2012年、佐藤優の解説をつけて、再版された。
松本俊一/著、佐藤優/著『【増補】日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実』朝日新聞出版(2019/3)
 1956年の日ソ国交回復交渉の日本側責任者だった松本俊一の回想録。北方領土問題を理解するうえで、きわめて重要な資料。
 上記図書の増補版   ・・・More・・・
『さようなら、みなさん! 鳩山日ソ交渉五十年目の真相』堀徹男 木本書店(2007.2.17) (本の表紙はここをクリック
 1956年、日ソ国交回復のときの日ソ交渉を鳩山訪ソを中心に記述。河野・フルシチョフ、鳩山・フルシチョフ会談の、日本側・ソ連側両方の記録が掲載されている。
『クレムリンへの使節 北方領土交渉1955-1983』 久保田正明/著 文藝春秋(1983.2.5) 
 著者はサンケイ新聞記者として、1956年に重光外相の日ソ交渉に特派員としてモスクワ、ロンドンに同行した。日ソ国交回復のときの交渉が詳細に記述されている。日ソ交渉を知る上で、きわめて重要な資料。
重光晶/著『北方領土とソ連外交』  時事通信社(1983.1)
 外務省外交官による北方領土問題の解説。戦争末期から日ソ共同宣言までの期間が詳しく書かれている。外交官の解説であるため、内容は緻密で、北方領土に対する日本の正当性を主張している。この本が発行された当時としては、最大限の知識を動員して書かれたものと思える。しかし、その後、大戦末期の日ソ関係については、ボリス・スラビンスキーの研究が現れた。サンフランシスコ条約のいきさつについては、原貴美恵氏の研究成果が出版されている。さらに、日ソ共同宣言については、田中孝彦氏の詳細な研究成果が出版されている。これら、優れた研究成果を踏まえると、重光氏の著書はその細部に対して大幅な訂正が必要かもしれない。
 本書は、原貴美恵氏や田中孝彦氏の著書に比べて、だいぶ薄いので、概要を有る程度正確に知りたい人には、今でも役に立つ著書である。
『重光葵』 渡邊行男/著 中公新書(1996.8.25)
 外交官としての重光の伝記。個人の伝記ではあるが、日本外交が垣間見える。最終章は日ソ国交回復交渉の話。北方領土に対する重光の態度、二島変換で妥結することをダレスに厳しく叱責されたことなどが記されている。
『日中をひらいた男 高碕達之助』 牧村健一郎/著 (朝日選書 2013/12)
 通産大臣や科学技術庁長官などを歴任した政治家、高碕達之助の伝記。高碕は北方領土近海漁業にも尽力し、歯舞諸島昆布漁の安全操業に道を開いた。  ・・・More・・・
『帰れ北方領土』 北方領土百年記念刊行会/編(1968.7.29) (本の表紙はここをクリック
 北方領土問題に関して返還運動関係者等の数ページの解説が多い。
 北島丸事件の寺澤鑑定と一審判決に対する批判記事が数件ある。この裁判が北方領土返還運動に及ぼした影響の深刻さがうかがえる
『還れ北方領土』 高城重吉/著 有信堂(1970.4.30)
 著者はもと択捉島民で、千島歯舞諸島居住者連盟創立者。ソ連軍艦が択捉島沖に現れたとき、単冠湾の位置を教える等、択捉島占領期から引き揚げに至るまでの間、中心的な役割を果たしている。ソ連占領期の択捉島の様子を知る上で、重要な書籍。
 北方領土返還要求では、4島返還論を唱えているが、その、法的、歴史的根拠は我田引水的で読んでもあまり役に立たないだろう。
『呼び返せ父祖の築いた北方領土』 北方領土復帰期成同盟(1973.3.31) (本の表紙はここをクリック
 北方領土返還運動のための70ページほどの冊子。内容の半分は、返還運動大会に参加した母と子の感想文。こういうものは、領土問題理解にあまり役に立つものではない。冊子の中に、松本俊一の講演があるが、日ソ国交回復の事情を知る上で参考になる。
『なぜ帰らぬ30年』 北方を語る会/編(1975.10.30) (本の表紙はここをクリック
 170ページほどの冊子。全体としては、返還運動の問題点を検討しているものと思われる。北方領土問題への国民関心度の調査結果をもとに、北方領土問題への関心度は一般に低いとしている。返還運動の問題点と言う表題の座談会では、北方領土問題へ国民の関心を高める必要が力説されている。
 北方領土返還運動の経緯と展望と言う表題の座談会で、北対協副会長の成田勝四郎氏は、平和条約で日本が放棄した千島列島に北方領土が含まれないかどうかは、あいまいであると説明している。元内閣法制局長官の林修三氏は、二島返還論に対して、それなら日ソ国交回復のときにやればよかったことで、4島返還要求をいまさら変更すべきではないと説明しているが、問題解決に対しては何も述べていない。このような論説を読むと、北方領土返還運動関係者は、実際に解決しようとする意欲が乏しいのではないか、と思えてならない。
『日ロ関係の40年 日ソ国交回復から「東京宣言」まで』 「日ソ関係の40年」編集委員会/編 日本・ロシア協会(1996.10.30)
 自民党の三塚博を会長とする超党派の国会議員で作る日本・ロシア協会による、日ソ、日ロ政治の解説。日ソ国交回復以降が詳しいが、それ以前の北方領土問題の歴史についても説明がある。日ソ国交回復以降の日ソ関係史が詳しい。外務省発行の「われらの北方領土」の学習をさらに深めたい場合に有用。
『北方領土返還運動50年史』 北方領土問題対策協会/編 北方領土問題対策協会(1996.3)
 日本における北方領土返還運動史の説明。
枝村純郎/著『外交交渉回想 沖縄返還・福田ドクトリン・北方領土』(2016/10)吉川弘文館  
 もと、駐ロシア日本大使による外交交渉の回想録。著者は、ソ連崩壊時期に駐ソ連・駐ロシア大使を務めた。本書の内容は、著者が携わった外交交渉全般であるが、著者の経歴のため、ソ連・ロシア関連が多い。  ・・・More・・・  
『これがソ連の対日外交だ 秘録・北方領土交渉 NHKスペシャル』NHK日ソプロジェクト/著 日本放送出版協会(1991.7)
 北方領土交渉にまつわる、日ソ外交関係のうち、主にソ連側の外交交渉が書かれている。出版当時にあっては、新規な情報を含む最新の成果だったかもしれない。しかし、ボリス・スラヴィンスキーの『千島占領』やパノフの『不信から信頼へ 北方領土交渉の内幕』がまだ知られていない時期の出版でもあり、今から見ると事実関係に誤りが散見されることは、残念である。パノフの著書と合わせて読むと、日ソ間の北方領土交渉のいきさつが良く分かって面白い。
『不信から信頼へ 北方領土交渉の内幕』 アレクサンドル・パノフ/著 高橋実、佐藤利郎/訳 サイマル出版会(1992.8)
 ソ連・ロシアの極東問題担当者として、実際に北方領土交渉に携わったパノフによる交渉の内幕。北方領土返還交渉を知る上で第1級の参考書。
『北方領土 特命交渉』 鈴木宗男・佐藤優/共著 講談社(2006.9.25) (本の表紙はここをクリック
 鈴木宗男議員による、これまでの北方領土交渉の経緯。交渉に直接拘った本人の記述であるため近時の北方領土交渉を知る上できわめて重要な文献。ロシアの政治状況についての分析も的確である。たぶんに、我田引水的な解釈はある。
 なお、第四章の一部に「北方領土ビジネス」の項があって、ここでは、北方領土問題を自己の利益のために食い物にしている勢力について触れている。北方領土問題を考える上で、考えさせられる問題です
北方領土交渉秘録 失われた五度の機会 東郷和彦/著 新潮社(2007.5.25) 本の表紙はここをクリック
 元外務省条約局長・欧亜局長による、北方領土交渉の著述。ゴルバチョフ時代から2005年までの北方領土交渉を詳述。この時代は、ソ連崩壊・新生ロシア誕生と、ロシア内政がめまぐるしく変化した。外務省を辞めさせられたものの著書であるため、その点、割り引いて読む必要があるかもしれないが、政策立案者で直接交渉に当たった者の著述であるため、北方領土返還交渉を知る上で、第一級の資料。  (もう少し詳しいコメントはここをクリック
東郷和彦、保阪正康/著 『日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島 (角川oneテーマ21) 』 角川書店(2012/2/10)
 前半は、東郷・元条約局長の、北方領土、竹島、尖閣の領土問題解説。後半は、東郷氏と作家の保坂氏の対談で、おおむね、保阪氏が質問し、東郷氏が答える内容になっている。
 北方領土問題解説では、日ソ・日露の交渉の経緯が詳しい。ただし、東郷氏の著書「北方領土交渉秘録」の概要を説明したような内容なので、同書をすでに読んでいる人には特に目新しいことはないように感じる。交渉経緯のおさらいには良いだろう。東郷氏は日本側の交渉担当者なので、解説は、基本的には、日本側の見方になっている。 ・・・More・・・
東郷和彦/著『危機の外交』角川書店 (2015/7)  
 2002年に退官するまで、外交官として外交問題にかかわってきた著者による、現在日本の外交問題に対する打開策の提言ということになるのだろう。
 次の5つのテーマを各テーマごとに説明している。 「70周年談話」「靖国問題」「慰安婦と徴用工問題」「北方領土問題」「尖閣問題」
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孫崎享/著  『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905) 』
 日本の領土問題を扱った本の多くは、日本政府の主張を焼き直して、自分勝手な意見を主張するものですが、この本はそうではなくて、まじめな歴史知識により、現実的な領土問題の解決を目指すものです。 ・・・More・・・
東郷和彦/著『返還交渉 沖縄・北方領土の「光と影」』 PHP研究所 (2017/3)  
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『元外務省主任分析官・佐田勇の告白: 小説・北方領土交渉』 佐藤優/著 徳間書店 (2014/1)
 本の内容は、フィクションということになるのだろうけれど、登場人物の名前も実名が容易に推定できるようになっているし、人間関係を含めて、基本的には、事実をそのまま書いているように感じられる。事実を書くために、あえて、フィクションという形をとったとも思える。
 当然のことであるが、内容は、著者の立場から見た事実であって、その意味では、一面的ではあるが、日ロ交渉を中心とした、日本外交の雰囲気が分かる。
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佐藤優/著 『日露外交 北方領土とインテリジェンス』角川書店 (2017/5)  
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本田良一/著『証言 北方領土交渉』中央公論新社 (2016/12)
 北方領土交渉過程が詳しく記載されている。特に、ゴルバチョフ時代から2016年ごろまでの北方領土返還交渉について非常に詳しい。
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名越健郎/著『北方領土はなぜ還ってこないのか-安倍・プーチン日露外交の誤算』海竜社 (2019/10)
 安倍内閣が二島返還に踏み切り、出口論に方針転換した経緯などが記される。
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駒木明義/著『安倍vs.プーチン 日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか?』筑摩書房 (2020/8)
 安倍内閣では4島返還から2島返還へと転換し、北方領土問題の解決を図った。本書はこの時の経緯と、成果なく終わった原因について記述している。
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北海道新聞社/編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』北海道新聞社 (2021/9)
 安倍内閣では4島返還から2島返還へと転換し、北方領土問題の解決を図った。本書は交渉と成果なく終わったの経緯について記述している。
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